旅-経営者の目線-
<旅-経営者の目線->114.(最終回)南オセアニアの旅-(17)あとがき
2005/09/05 15:27
週刊BCN 2005年09月05日vol.1103掲載
空の旅と違って、連日洋上航海が続き、太平洋の広さと地球の大きさをまざまざと実感した。明治の先人たちが何日もかけて長駆西欧に留学した当時の難業を想い偲ぶことができた。
洋上では新聞もなく携帯電話も使えない。NHKの海外向けBSテレビすら映らず、インターネットの電子メールだけという浮世離れした毎日が続いた。私は旅行記を書いたり、読書をしたり、ジョギングをした以外はのんびりと海を眺めていた。時々刻々に変化する明るいコバルトブルーの海は美しく、特に船尾の航跡は色鮮やかで飽きることはなかった。
南洋諸島はグアムやバリ島などに較べて開発が遅れ、それだけに美しい自然が残っていた。「南洋松島」と、「太平洋に浮かぶ真珠の首飾り」は絶景で他に並ぶものがない。念願だった戦跡詣でを果たし、期待していたフィヨルド航行もできた。美しいシドニー港の昼と夜景を眺め、「庭園の街」クライストチャーチに魅せられ、トンガの国を挙げての歓迎ぶりに感動した。「赤道通過祭」も忘れられない。
真夏と真冬がなく温暖で過ごしやすい南オセアニアに対して、日本には四季があり、夏冬の温度差は40度近くある。日本はアジア大陸やシベリアの影響を強く受けていることを知った。それぞれ一長一短あるが、私は新緑や紅葉など、変化に富んだ日本の四季に魅力を感じている。
何人かの友人もできた。乗船客は飛鳥リピーターが多く、私は日本に金とヒマのある高齢者が思った以上に多いのに驚いた。今回の旅を通して、敗戦国だった日本が今日の豊かさと繁栄を実現したことに対して、日本人として誇らしく想い、民族としての自信を深めることができた。
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