Letters from the World
ノートパソコンで乱闘
2005/08/29 15:37
週刊BCN 2005年08月29日vol.1102掲載
現場はバージニア州リッチモンドにあるレース場のインターナショナル・レースウェイ。ここで16日、地元の自治体のヘンリコ郡が公立高校払い下げのiBook1000台を1台50ドルの放出価格で売りに出したところ、予想を遥かに上回る約5500人(警察推計)が詰めかけ、大混乱に陥った。
4年落ちの中古とは言え、ノートパソコンが5000円強。この価格なら、並んでみようとの気持ちはよく分かる。告知が出るや遠くはカリフォルニア州、はては欧州からも役所に問い合わせが殺到。郡では急きょ地元住民のみ対象とすることに変更、場所も倉庫から国際レース場に移して混雑に備えた。
当日、ゲート前には暇潰しの本とスナック、傘で完全武装した先頭集団が午前1時半から到着開始。道路は渋滞し、人の行列は全長半マイルに及んだ。これだけ長いと、うかうかトイレにも行けないのだろう。列の後ろに絶対回りたくない女性がとうとう並んだまま放尿し、現場の周辺は日の出前から不穏な空気に包まれた。
7時開門。2人がやっと通れるくらいの狭いゲートから群集がどっとなだれ込み、売り場めがけて猛ダッシュ。何人かが倒れて群集の下敷きとなり、応援に駆けつけた警官45人と消防隊、救援隊が鎮圧・救助にあたった。結局17人が負傷し4人が病院に運ばれベビーカー1台がもみくちゃにされて破損。「殴り倒されて生き残るのに必死でしたよ。みな私の上にいたんです」。年配の女性は状況を生々しく語った。
ちなみにこのヘンリコ郡。iBookの払い下げは今回が初めてではないようで、前回の払い下げ品は今月イーベイで376ドルの落札価格がついている。乱闘もなければ利益も出る。次回は最初から競売にすべきだろう。(米サンフランシスコ発)
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