北斗七星

北斗七星 2005年7月18日付 Vol.1097

2005/07/18 15:38

週刊BCN 2005年07月18日vol.1097掲載

▼プロ野球改革元年と言われた今年、セ・パ交流戦による新たなカードの実現など、活性化の兆しは出ている。何よりも、個人的に贔屓(ひいき)にしているチームが好調ということで、無責任ながら、良い方向に向かっている気がする。もちろん、本当の改革は手付かずのままなのを忘れてはいないが。

▼国内同様、世界でも野球を見直す動きがあった。2012年のロンドン五輪の競技から野球を外すというものだ。盛んな国が限られていること、スター集団の米MLBが選手を派遣しないことなど、観客の関心を集めづらいという面はある。見直しは「あり得べし」といえる。しかし、この決定に至るまで、日本が何をしたかが問題ではないか。

▼残念ながら、日本の国際交渉下手、ロビー活動下手には定評がある。国家としてはもちろん、煮え湯を飲まされた産業も数知れない。「好調」と浮かれていると、思いもよらぬ方向から弾が飛んでくる。現状認識や状況判断の甘さに起因する場合が多い。

▼国際オリンピック委員会(IOC)のロゲ会長は「復活がないわけではない」との認識を示している。他国の言動はこの際おいて、日本の野球文化発展に必要と判断するなら、復活を働きかけてはどうか。競技人口にかかわらず、強引に新しい競技をねじ込もうとする動きもないわけではないのだから。サッカー並みにワールドカップ開催に動くもいい。「国際協調」という麗しい言葉の裏にも、必ず利益追求が隠れていることを肝に銘じるべきだ。まずは国益に影響しない問題から。
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