Letters from the World
メディア関連株の首位交代
2005/06/27 15:37
週刊BCN 2005年06月27日vol.1094掲載
タイム・ワーナーのパーソンズ会長は5月、「ポータル戦略改革が期待通りの成果を挙げない場合、AOLのスピンオフもありうる」と語る(フォーチュン誌)など不透明感が広がっていたが、6月半ばにはAOLの好調が伝えられるなど市況は流動的だ。ここでは6月7日時点の数値を元に話を進めたい。
グーグルの7日の時価総額は814億ドル。対するタイム・ワーナーは782億5000万ドルでAOLと合併した2001年末当時の1060億ドルからは大分落ちた。次点はディズニー約568億ドル、バイアコム545億ドル、米ヤフー約520億ドルと続く。
ただし売上高を見ると、グーグルの昨年度の売り上げは32億ドルで、420億ドルのワーナーからはケタ1つ劣る。売り上げが10分の1以下の新興企業が老舗銘柄と同等かそれ以上の値で売買されるというのは一体どういうカラクリなのか。
これは早い話が“バブル”で、グーグル株は現在ロイター・エスティメートが出した05年アナリスト予想平均の50倍で取り引きされている。タイム・ワーナーは22倍、ディズニー21倍、バイアコムは19倍だから既存銘柄の倍以上の計算。
それもこれも「検索広告市場は5年で10倍に拡大する。従ってグーグルの利益も5年で今の10倍以上になる」という3段論法がウォール街に根強くあるからだが、果たしてそんなことが可能なのか。
日本の某氏は「メディアを殺す」発言で嫌われたが、株価だけ見たら充分殺せそうな気がしてくるから不思議なものだ。(米サンフランシスコ発:ライター 市村佐登美)
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