旅-経営者の目線-

<旅-経営者の目線->105.南オセアニアの旅-(8)ホバート

2005/06/27 15:27

週刊BCN 2005年06月27日vol.1094掲載

 2月5日朝、晴、大陸の沿岸を離れバース海峡に入り波がでてきた。風速17メートル、気温16.5度、海水温19度。このあたりの水深は1400メートル。6日6時半タスマン岬を通過、右に舵を切り、タスマニア島のホバート湾に入った。湾内は入江が複雑に入り込み奥が深く天然の良港である。9時、島の南東の港町ホバートに入港した。熱帯の色鮮やかな樹々の色と違って、ここは日本の樹の色に近い。

 タスマニア島の面積は北海道の80%。その半分が多雨林で、さらにその半分が原生植物園として世界自然遺産になっている。またタスマニアデビルやカモノハシなど、オーストラリア大陸にはない固有の動植物が生息している。人口はわずかに47万。そのうちホバートに20万人住んでいる。夏は温暖で22度、冬も最低11度とあまり寒くない。かつては捕鯨で栄えたが、今は牧羊や酪農などが主で、自然環境の良さから品質が高く評価されている。

 長いタスマン橋を渡って、歴史の古いリッチモンドに向かう。左右に羊や牛が放牧されている牧場が拡がっていたが、その牧草が枯れているのに驚いた。聞けば夏は水が少ないので枯れ、冬は寒さが厳しくないので青々と緑一色になるという。緯度が同程度の北海道と大きく違うことを知った。

 リッチモンドには1823年に流刑者達によって造られたオーストラリア最古の立派な石橋があった。ロイヤル植物園では、松やユーカリ、コルクの木などの亭々たる大樹に見惚れてしまった。標高340メートルのネルソン山展望台からホバート湾を見渡す300度近い眺望は素晴らしかった。日曜というのに港町通りは飲食店などで賑わい、私も記念に買物をした。

 タスマニア島は残された貴重な未開の天地であると知った。
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