北斗七星

北斗七星 2005年5月23日付 Vol.1089

2005/05/23 15:38

週刊BCN 2005年05月23日vol.1089掲載

▼昨年、球団合併を巡り迷走したプロ野球界にとって改革の象徴であるセントラルリーグとパシフィックリーグの交流戦が始まった。しかし、リーグ戦のスタート以来、苦戦が続いている新規参入球団・楽天東北ゴールデンイーグルスは、巻き返しの兆しさえ見せず、依然として超低空飛行を続けている。確か、「イヌワシ」は、上昇気流をうまくつかみ、悠然と大空を舞う鳥だったはずだが。

▼シーズンが始まる前、楽天100敗説が、まことしやかに語られた。その一方、「同じプロである以上、100敗など喫するはずがない。そのための補強もしているのだから」という声も聞かれた。しかし、これまでのところ、勝率2割前後に甘んじている。しかも、シーズンが進めば、主力選手にも疲れが蓄積され、場合によっては怪我や故障に見舞われることもある。球団関係者も「まさか」とは思っていただろうが、100敗の大台もいよいよ現実味を帯びる。

▼わがIT産業にも同じような現象が起きている。人材不足だ。「仕事があるのに人材がいないため、受注できない」という声が各所で聞かれる。中途採用しようにも、募集に応じる人材はスキル不足。一定水準の人材を集めた企業とは、同じリーグでは戦えない。イーグルス同様に、100敗の憂き目を見る可能性がある。しかし、イーグルスでも新人を獲得し、育てようとしている。即戦力を集めても、フリーエージェントを行使されたら元も子もない。中長期の視点が不可欠なのだ。コストはかかるが、育てるという発想も重要だ。
  • 1