Letters from the World

反日デモと中国の情報管制

2005/05/02 15:37

週刊BCN 2005年05月02日vol.1087掲載

 4月に入って中国で日本政府と日本人に対する対応が険悪になってきた。ここ深(シンセン)では10日に1万人、また上海では16日に10万人も動員した大規模なデモが行われた。

 中国にいるとそういったニュースはインターネットを通じた海外ニュースで知るしか方法がない。しかし海外メディアもBBCなどブロックされているし、中国語圏の台湾のニュースは当局の必要に応じ頻繁にブロックされるので、センシティブな記事はほとんど、アクセス不能になってしまう。

 掲示板書き込みなども数千人規模でモニタリングしたり、ハイテクな文字処理技術でキーワードをもとにブロックしているという。

 中国の新聞やテレビ放送は完全に検閲されているので、公正なニュースというより、当局の思想や方針を一方的に伝えるための伝達メディアとなっている。必要に応じて、情報量を増やしたり、誇張したり、またカットしたりと様々である。

 ちなみに、今回のデモの過激や様子は中国国内ではほとんど報道されていない。それなのに、最近のニュースでは、反日デモにおいて、冷静な行動をしよう、という呼びかけをしている。これは、唐突であり、また奇妙でさえある。

 海外のニュースを瞬時に得る方法は、違法を承知で衛星放送のアンテナとチューナーを設置するとか、外国へVPN(仮想私設網)を張り、そこから海外のサイトにアクセスするといった方法が考えられる。

 最も簡単なのは、深なら1一2時間かけて香港に入り、そこで、香港の新聞やテレビなどのメディアを探索することであろう。外国人なら簡単に行き来できるのだが、通行証を持たない大多数の中国人は香港に行くことができないので、それも不可能である。

 この時期のインターネットは政府のモニタリングや反日デモ勧誘のチェーンメールの氾濫のせいか、負荷が重く、異様にレスポンスが悪い。このような弊害も発生し、全く困ったものである。(中国・深セン発:アコードインターナショナル 原 真)
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