Letters from the World
ムーアの法則
2005/04/25 15:37
週刊BCN 2005年04月25日vol.1086掲載
発表当時「毎年倍増」としたが10年後には「2年ごと」に改訂した。1965年と言えば日本でIC(集積回路)の研究が始まった年。その後20年で日本の半導体は米シリコンバレーの存続を揺るがす脅威へと成長を遂げる。
そんな国際競争も手伝って、半導体チップは未曾有の進化を遂げた。そしてICがより速く安く小さくなるに従い、サンフランシスコ湾南岸一帯に広がる全米随一の果樹園にシリコンバレーというハイテク基地が形成された。
この40年はまさにムーアの法則の具現化だったし、もうあと15年で原子レベルまで小型化が進んで法則が限界に達するとされる現在も、この経験則はシリコンバレーに住む技術者の心の支えといっていい。「これは人間の発明と未来に対する宗教のようなもの」。法則の名づけ親であるC・ミード元カリフォルニア工科大教授はこう語る。
その辺の店に転がっている玩具だって今は60年代アポロ月面着陸で使われた処理能力の4倍はある。インテルの初代マイクロプロセッサ「i4001」(71年発表)はトランジスタ2300台分だったが、今年同社はなんと17億台分搭載の新型のリリースを予定している。
この進化のすさまじさを未来研究ポール・サッフォー所長は、「子どもに週1セントの小遣いをあげ毎週倍にするとしよう。20週目には100万セントだ」と説明する。
当のムーア博士自身は最近の記者会見で、「車産業が同じスピードで進化したら今ごろ車は時速100万マイルで走っている。燃費はガロン5万マイルだ」と解説、「あと5年から先のことは分からないがね」と語った。
世界の半導体産業は年間売上高2130億ドル。1兆ドルの電子産業を支える原動力だ。(米サンフランシスコ発:ライター 市村佐登美)
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