北斗七星

北斗七星 2005年4月18日付 Vol.1085

2005/04/18 15:38

週刊BCN 2005年04月18日vol.1085掲載

▼数年前、『ペイ・フォワード』という映画があった。他人から受けた善意は、恩返し(ペイ・バック)するのではなく、別の人に広げよう。そうすれば、いずれ世界を変えることができる、と考えた少年の話だ。正反対の考えながら、同じような行動が中国で展開された。「反日行動に参加しよう。そして、このメールを10人の友人に送ろう」というものだ。「インビテーション・フォワード」とでも呼ぶべきだろうか。

▼政治問題はおくとして、いまや経済的に日中を切り離すことはできない。日本の財界トップは、「この種のリスク(カントリーリスク)は織り込み済みで、日本企業の戦略見直しはない」との見方を示した。時の経過が沈静化をもたらすなら、それにこしたことはない。

▼かつて、ある大企業はカントリーリスクのない先進国に投資し、巨額の損失を蒙った。もちろん、経済環境の変化があったのだが、法制上の違い、つまりリーガルリスクを甘く見ていたことが、損失を膨らませる一因となった。その反省もあり、その後は日本でも有数のコンプライアンス体制を整えた。だが後になって、不祥事から経営トップまでが書類送検されてしまった。

▼リスクに備えるのは大事なことだが、それでも想定を超える事態が発生することがある。外的要因だけでなく、内部にその芽を抱えている場合もある。日中関係はアジア全体にとっても重要なだけに、これを機にあらためて、そうした芽を確認しておく必要がありそうだ。
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