北斗七星

北斗七星 2005年4月11日付 Vol.1084

2005/04/11 15:38

週刊BCN 2005年04月11日vol.1084掲載

▼政治の世界に「ゲリマンダリング」という言葉がある。選挙区に議員定数を割り当てたりする際に自党に有利なよう選挙区の境界線を設定する行為で、1812年に米マサチューセッツ州知事のゲリーが恣意的な割り当てを行ったところ、選挙区の線引きが伝説上の怪物「サラマンダー」に似ていたことから、こう揶揄された。ゲリー+サラマンダーで「ゲリマンダー」というわけだ。日本でも1956年、第3次鳩山内閣が野党から「ハトマンダー」と揶揄され、自党に都合よい公職選挙法改正案の廃案に追い込まれている。

▼ゲリマンダリングの極意は「勝つ時は僅差で勝つ」、「負ける時は大敗する」。そうすることで自党の支持者が相対的に少なくても、多くの選挙区を抑えることができる。今日ではゲリマンダリングに対し厳しい監視の目が向けられるようになったが、なぜか東北楽天ゴールデンイーグルスの試合ぶりを見ていて、ふとこの言葉を思い出してしまった。鳴り物入りで迎えた開幕戦で歴史的勝利を収めたかと思えば、その翌日に0対26という、これも歴史的な大差で破れる。僅差の勝利も目立つ。

▼だが、野球は政治とは違う。得失点差を問われるサッカーとも違う。年間通算で総失点が総得点を大きく上回っても、勝ち越すことは可能だ。たとえ1点差でも勝ちは勝ち。こぢんまりした試合運びを見せられるよりは、観客として面白い。この春、新社会人になった人も多いだろうが、楽天ように伸び伸びした姿勢で仕事に臨めば、5月病も避けられるかもしれない。
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