Letters from the World

中国の人材市場

2005/03/14 15:37

週刊BCN 2005年03月14日vol.1080掲載

 中国の正月である春節(今年は2月9日)を挟んだ約2週間は、企業にとって、魔の2週間と言える。

 前回書いたように、あまりにも長い休暇のため、従業員が帰郷したまま戻らないケースも多いし、休みを満喫したあと、ちゃっかりと退職届けを出す従業員も後を絶たない。

 企業に雇われる側の心理としては、ボーナスをもらい、長い休みを取って、さらに条件のいい会社を探したいのは当然だ。

 中国のたいていの都市には、人材市場という、中国独特の施設がある。これは、市政府が運営している、人材斡旋マーケットである。

 そのしくみを説明しよう。施設となっているビルのフロア全部もしくは2階分がすべて、展示会場のように小さいブースで仕切られている。

 このブースは、人材を募集している企業があらかじめ予約の上、1日あたりを日本円にして1万円程度の出展料で借りることができる。

 それぞれの企業の募集の条件は印刷物に載ったり、ウェブに載る仕組みになっている。

 朝8時半からの募集開始と同時に、応募者が会場にどっとなだれ込み、各ブースを渡り歩き、その場で面接をするわけである。日本の職業安定所のような暗い雰囲気はなく、職を探す若い人たちで毎日ごった返している。

 人気のあるブースでは、カウンターの前に長い列ができ、面接官との面接の順番を待つ。

 面接をする方は、1日に少なくとも数十人と面接するので、1人あたりに費やす時間をあまり多く取ることができない。その企業が求める条件に合わないような不要な人材の場合には、ドライに断る。

 企業側はここである程度選別して、2次面接以降を会社でゆっくり行うのである。日本では見ることができない、中国独特のしくみである。

 人材市場は、春節休みのあとは、特ににぎわうことになる。1週間程度待たないと企業もブースが持てないほどだ。(中国・深セン発:アコードインターナショナル 原 真)
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