北斗七星

北斗七星 2004年11月22日付 Vol.1065

2004/11/22 15:38

週刊BCN 2004年11月22日vol.1065掲載

▼株式上場企業の不祥事が相次いでいる。東証1部上場の西武鉄道は40年以上も大株主の持株比率を過少報告していた。上場基準に抵触し、投資家の利益を損なう重大な違反行為だ。その結果として、誰もが予想せぬ形で今年のキーワードとなった「球界再編」の舞台に遅まきながら登場し、誰もが予想した通り「上場廃止」となった。

▼東証・大証2部上場の老舗和菓子メーカーは、「時価総額」による上場基準をクリアしようと架空増資に走った。ナスダック・ジャパン(現ヘラクレス)市場上場だった情報システム開発・販売会社は、投資家の信頼を得ようと架空取引による売り上げ水増しを行っていた。

▼それぞれの市場には、それぞれのルールがあり、遵守しなければならないのは当然。理由はどうあれ、許されるものではない。かつて、資本市場は投資家保護を目的に、上場や公開には厳しいルールで臨んでいた。しかし、「あまりに厳しいと、これから活躍すべき企業の芽まで摘んでしまう」として新興市場が形成された。ベンチャーも多く、開発資金も必要な企業が多い。伸び盛りの我がIT産業にとっては、まさに福音であったはずだ。

▼不祥事を起こした企業は、ごく一部の例外的な企業かもしれない。しかし、少なくともIT産業に身を置く企業は、ステータスに拘らず、身の丈にあったルールの市場を選び、それを遵守することをあらためて認識しておきたい。後に続く若い企業や仲間達のためにも。
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