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経営トップの声を

2004/11/22 15:27

週刊BCN 2004年11月22日vol.1065掲載

 大手ITベンダーの中間決算がほぼ出揃った。IT投資は回復に向かっているが、業績はまだら模様。V字回復した企業もあれば、不採算案件などで苦しんだ企業もある。幹部の顔色も様々だ。

 不採算案件の発生で業績を悪化させた、あるシステムインテグレータの説明会。上期に赤字案件が数件発覚し、中間期で処理できず下期に特別損失を計上することに。中間業績と通期見通しを発表する社長の表情も、苦渋に満ちている。

 足元の危機にも関わらず、中間業績とともに発表した中期経営計画では、威勢の良い数字が並ぶ。その具体的な理由と意気込みに、参加者は注目したが、中期経営計画の説明は、社長でも会長でもなく、ナレーターの声を録音したもの。プロジェクターを通して映し出された資料とともに、無表情な声が方針を語りだす。

 質疑応答では、不採算案件の内容に質問が集中。さらにアナリストからは、「なぜナレーションで説明したのか。これじゃ気持ちが伝わってこない。生の声で話して欲しい」という声も上がった。経営トップは、「私が話すと時間がいくらあっても足りないから」と逃げた。不採算案件の発生で厳しい質問ばかりが飛び交ったうえに、「気持ちが伝わってこない」という発言はズシリと効いたのだろう。
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