▼気の早い話だが、BCNを含め大抵のメディアは例年、秋の深まりとともにそろそろ1年の締め括りに向け、10大ニュースを振り返る時期を迎える。さて今年、IT業界で印象に残った出来事とは？やはり、アテネ五輪を前に盛り上がったデジタル家電ブームだろうか。1990年代終盤から00年代初頭にかけては、世間があっと驚くような合従連衡、業界再編が国内外で巻き起こったが、今年はエポックメーキングな出来事というよりは、デジタル家電という一種の〝トレンド〟が記憶に新しい。

▼これはある意味、IT業界が激しい変革・模索の時期を経て、ようやく1つの方向に流れ始めた証かもしれない。家電というと、どうしてもコンシューマ商品のイメージがつきまとうが、パソコンだって黎明期は個人利用が大半を占めた。その当時、パソコンがオフィスに欠かせないツールになるとは、どの程度の人が予想できたか。いずれデジタル家電も姿を変えながら、デジタルオフィス機器として浸透してくる可能性は大きい。

▼デジタル家電の好調を横目に、今年もコンシューマ向けパソコンは伸び悩んだ。大手メーカー各社は、AV（音響・映像）パソコンに活路を求め、斬新なモデルを相次ぎ投入したが、デジタルAVブームには今ひとつ乗り切れなかった感がある。だが、これも考えようかも。将来、オフィス内のパソコンがテレビ電話やテレビ会議、研修プログラムの窓口端末になり始めた時、高性能AV機能を備えたパソコンは思いのほか“大化け”するかもしれない。