Letters from the World

個人情報保護

2004/11/08 15:37

週刊BCN 2004年11月08日vol.1063掲載

 日本では、インターネットを使う上で個人情報の取り扱いが話題になっている。これはネットで取り扱われた個人情報が悪用されるケースが多く発生したためという考えがあるが、実際にそうなのだろうか。個人情報という面では、プライバシーという意味で米国の方が日本よりよほど進んでいる。しかし、米国では日本のようにみんなが個人情報、個人情報と叫んではいない。

 以前も日本で同じような状態があった。「PL法」の実施の時、日本はみんな「PL」と叫んでいた。「米国ではこうだ…」と言ったことを覚えている。しかし、今では大きな話題にはなっていない。「個人情報」も同じこと。今は流行で叫んでいるだけではないか。個人情報を守るのは当たり前。しかし、ここまで問題視する必要はないのである。

 今の慌て方だと、電話帳は出版できない。カーナビで電話番号や住所からのルート検索も問題だ。家の前にある「表札」は個人情報ではないのか。

 個人情報を悪用した場合はそれなりの法律が既に準備されている。それを使って悪用する人や会社を迅速に処分する。これが大切で、新しい法律を作って、必要以上のコストを善良な企業に負荷させることが良いことではない。

 インターネットに関連したサービスは、無料を含めて非常に安い価格で提供されている。しかし、そのサービスを受けるためには個人に情報の提供が求められている。この個人情報をどう扱うか。また、この保護をすることは企業にとっては顧客リストをどう扱うかということであって、外部に出すことは自社の死活問題。それを法律で規制することに意味はないのである。

 また、個人情報を販売するようないかがわしい目的で情報を収集する会社には、この法律による効果はないだろう。インターネットでは、取り締まる相手が日本国内にいる保証すらないのだから。確かに「個人情報保護」は大切。善良な企業はそれを実施するのが当たり前。

 個人情報保護で儲けている会社は、PL法やY2K問題で儲けた会社と同じでは…。(米シアトル発:パシフィックソフトウェアパブリッシング 内倉憲一)
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