旅-経営者の目線-

<旅-経営者の目線->82.おわら風の盆と飛騨の旅-(3)ささら踊り

2004/11/08 15:27

週刊BCN 2004年11月08日vol.1063掲載

 翌日富山を発って井波の瑞泉寺に向かった。道の左右に屋敷林に囲まれた立派な民家が点在していた。聞けばこの辺りでは白壁の土蔵を1、2棟持っているのが当たり前だという。

 瑞泉寺は北陸真宗の中心寺院で、北陸最大の木造建築物である。井波の町は“木彫りの里”といわれ、門前の通りに彫り師の工房が並んでいた。ここにも飛騨の匠みが生き続けていることを知った。

 五箇山、萩町の合掌集落散策はこれも3回目である。いかにも平家の落人部落らしく往事の人々が人里離れた山深いところで、部族を守ろうとしてひっそりと住み暮らした耐乏生活に想いを馳せ、気安く車で訪れたことにすまなさを感じた。

 五箇山の白山宮で奈良時代から伝わるという“ささら踊り”を見学した。民謡“こきりこ節”に合わせて、ささらを打ち鳴らしながら踊る。ささらは短冊形の薄い桧の板108枚を綴った打楽器で、煩悩を払う厄よけとしてこれを鳴らしながらお神楽のように跳ね踊る。中世の民族文化が今も残っているこの飛騨地方が陸の孤島であったことを改めて知り万感胸を打つ。その夜は小京都高山に泊まった。ここは5回目の訪問である(旅-19号に既載)。

 朝市をぶらつき名物焼団子を食して、新穂高ロープウェイに向かった。台風の合間の素晴らしい好天に恵まれ、山頂からは槍、穂高などの景観を満喫した。帰路安房トンネルを通った。

 かつて高山から松本に向かった時には、曲がりくねった安房峠を何時間もかけて越えたが、今は10数分でトンネルを抜ける。映画「野麦峠」の悲しい少女の物語を想い出しながら松本に向かった。
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