アマチュアのためのゴルフ心理学
<アマチュアのためのゴルフ心理学>12.日本オープンゴルフ選手権
2004/10/25 15:27
週刊BCN 2004年10月25日vol.1061掲載
この大会で、悲願の復活を遂げたのは谷口徹プロ。賞金王に輝いた2002年から遠ざかっていた勝ち星だった。その間、病に倒れたり、新しいヒーローが誕生するなか、誰にもマークされなくなるなど人知れぬ辛さを味わった上での優勝の重圧や喜びは、会見での止まらない涙からもうかがい知れたのではないだろうか。
追い上げ型である谷口プロにとって、今回のように最初から首位キープというプレッシャーは相当のものだったはずである。
最終日、その重圧もピークにきているであろうなか、トップを走る谷口プロにもピンチが訪れた。14番でダブルボギーを叩くと、続く15番でもボギー。2位のスメイルとの差は2ストローク。さらに16番パー5の2打目はガードバンカーにつかまった。
ここまで聞くと、16番もプレッシャーからバンカーに入ってしまったのか、と思うところだが、それが違った。後のインタビューから分かったことだが、あのホールの状況から考えて、バンカーに囲まれたグリーンに無理に乗せるのは危険と判断した谷口プロは、あえてガードバンカーを狙ったというのである。
結局見事に寄せてバーディ。一か八か的な賭けをしてグリーンを狙うのではなく、自信をもってほぼ大丈夫と判断したバンカーを狙った。谷口プロの分析の冷静さが、今回の強さの秘訣だったのではないだろうか。
筆者はアマチュアゴルファーに、「一か八か的な賭けは、犠牲を生むだけなのでやめるように。自分のなかで少なくとも7割以上、8、9割いけると思えるような攻めをするのが積極的な攻めだ」とよくアドバイスする。
谷口プロは、そのお手本を見せてくれたわけである。アマチュアの皆さんも、プロの戦略を見習って、ピンチに立った時には冷静に判断してみてほしい。
一か八かなのか、8割9割自信を持てるのか。冷静な判断で攻めていけば、取りこぼしもぐっと減るはずである。
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