北斗七星

北斗七星 2004年10月4日付 Vol.1058

2004/10/04 15:38

週刊BCN 2004年10月04日vol.1058掲載

▼休みの1日、東京・有楽町の東京国際フォーラムで開かれている「人体の不思議展」(人体の不思議展実行委員会主催、日本赤十字社など後援、会期は2005年1月16日まで)を見に行った。昨年は東京会場だけで75万人を集めただけあって、今回も休日ともなれば入り口は長蛇の列。人体の不思議もさることながら、それを見に来る人の多さにも不思議を感じる。

▼会場に1歩足を踏み入れると、そこには模造品ではない“本物”の人体標本が何体も展示されている。プラスとミックと呼ばれる樹脂で固めた人体標本で、縦・横に輪切りにした人体や神経組織、臓器などがわかるように切り口を開いた標本など、さすがに、その生々しさに一瞬たじろぐ。今回、初めて展示された標本に、全身の動脈を樹脂で固め、それだけを取り出した標本がある。人型になった無数の血管ネットワークを見ていると、とても人為的には作り出せない造形美すら感じる。

▼スーパーコンピュータを駆使してヒトゲノムの全容が解明された。それら遺伝子が、我々の全身の設計図になっている。人類は、人間の能力を超える数々の機器を開発してきた。人とは比べられない計算機能を持ったコンピュータもその1つ。一方で、人間の機能に近づこうというアプローチもある。2足歩行ロボットなどがその例だろう。しかし、人体標本を前にすると、いかに先端技術を駆使しても、ここまで精密で高性能なメカニズムに到達するのは不可能なことのように思えてくる。
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