北斗七星
北斗七星 2004年10月4日付 Vol.1058
2004/10/04 15:38
週刊BCN 2004年10月04日vol.1058掲載
▼会場に1歩足を踏み入れると、そこには模造品ではない“本物”の人体標本が何体も展示されている。プラスとミックと呼ばれる樹脂で固めた人体標本で、縦・横に輪切りにした人体や神経組織、臓器などがわかるように切り口を開いた標本など、さすがに、その生々しさに一瞬たじろぐ。今回、初めて展示された標本に、全身の動脈を樹脂で固め、それだけを取り出した標本がある。人型になった無数の血管ネットワークを見ていると、とても人為的には作り出せない造形美すら感じる。
▼スーパーコンピュータを駆使してヒトゲノムの全容が解明された。それら遺伝子が、我々の全身の設計図になっている。人類は、人間の能力を超える数々の機器を開発してきた。人とは比べられない計算機能を持ったコンピュータもその1つ。一方で、人間の機能に近づこうというアプローチもある。2足歩行ロボットなどがその例だろう。しかし、人体標本を前にすると、いかに先端技術を駆使しても、ここまで精密で高性能なメカニズムに到達するのは不可能なことのように思えてくる。
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