北斗七星

北斗七星 2004年9月20日付 Vol.1056

2004/09/20 15:38

週刊BCN 2004年09月20日vol.1056掲載

▼最近、生活者の視点から見ても、フラストレーションの溜まることが増えている。傲慢な球団の態度に、「ストやむなし、がんばれ!」と応援したファンが6割を超えていたにもかかわらず、緒戦では伝家の宝刀を抜かずじまいだったプロ野球選手会。忸怩たる思いを抱いた人は多いのではないか。

▼政府は、07年4月の郵政民営化を閣議決定した。窓口、郵便、郵貯、保険を分社化し、純粋持ち株会社の傘下に置くことなどが柱。しかし、与党の了承を得ないままの決定だったため、「法案審議の過程でどうにでもなる」と族議員もさして心配していない様子。ポピュリズムと批判されようが、単純なスローガンで国民の支持を得てきた小泉首相だが、一方の旗印とした道路関係4公団民営化は、結果的に国民の期待を裏切ってしまった。郵政民営化は首相のライフワークだが、力関係と今後の国会運営という点で疑問符は消えない。

▼米国の神学者の言葉を思い出した。「神よ、変えることのできるものについてはそれを変えるだけの勇気を、変えることのできないものについてはそれを受け入れるだけの冷静さを、そしてこの両者を識別することのできる知恵を、与え給え」との言葉は、速水優・前日銀総裁の座右の銘でもある。改正日銀法下の初代総裁として、市場や政府との対話に苦悩し、時には失敗も犯したが、言葉に忠実であろうとしたことに嘘はなかった。言葉を噛み締めなければならない日本人は多い。
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