旅の蜃気楼

新品より中古

2004/09/06 15:38

週刊BCN 2004年09月06日vol.1054掲載

 自動車免許をとって初めて買った車は中古のシビックだった。きびきびと良く走るおかげで、1週間後にスピード違反でめでたく免停。ひと月で門柱にぶつけてドアを大破したが、買い替えまでの2年間、故障とは無縁だった。以来、中古車を頻繁に乗り換えて、10年目にようやく新車にたどり着いた。

 ところで、自動車の世界では新車より中古車のほうが市場規模が大きい。「なぜだと思いますか」と言うのはソフマップの山科光男社長。「買い取り価格もある程度均一性があるし、不具合の改修も徹底している。それだけ中古車の信頼性が高いからですよ」という。同社は8月末、中古パソコン商品化工場の品質管理でISO9001を取得した。この動きが中古パソコン市場全体の信頼性向上につながればと期待する。

 パソコンの場合、中古の年間販売台数は110万台。新製品市場の1割強というのが実態だ。新品への買い替え台数からすると、この2-3倍が市場に出回っても不思議ではない。車は買い替え時の下取りが当たり前。下取り価格は、新車購入のいわば補填金額で、これがあるから新車の買い替えもスムーズに運ぶ。買い替え需要が低迷するパソコンだが、自動車の下取りと新車販売の循環サイクルは、市場活性化の身近な手本といえるのかもしれない。(本郷発・細田澄)
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