Letters from the World
静かな大統領選挙
2004/09/06 15:37
週刊BCN 2004年09月06日vol.1054掲載
一方、ハイテク政策でも不透明感が漂っている。例えば、ブッシュ大統領は、カリフォルニアなどハイテクに強い地域を訪問すると「2007年までにブロードバンドを全米に普及させる」とたびたび口にするが、その具体的な予算や手段については何も出てこない。
一方、ケリー陣営はブッシュ大統領のブロードバンド公約を「具体性がない」と批判したまでは良いが、自ら具体的なハイテク戦略を打ち出すには至っていない。かろうじて、テレビ放送のデジタル化にともない空白となるUHF帯に着目し、電波免許を競売した資金で「僻地や貧困者へのブロードバンド普及を進める」と述べるばかり。米国経済の牽引車だったハイテク業界をテコ入れするには、あまりに断片的な話だ。
落胆しているのは、どうやら私ばかりでもないようで、通信業界誌やコンピュータ関連の業界新聞も、まるで「大統領選挙が行われていない」かのように静かだ。しかも、来月あたりからクリスマス商戦の予測が発表されるが、前評判を聞く限り、景気の良い話は飛び出してこない。この調子で大統領選挙が進めば「祭りのあとの静けさ」ではないが、来年は米国の景気が悪くなるのではないかと心配している。(米サンフランシスコ発:ITジャーナリスト 小池良次)
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