Letters from the World

スキャナの需要低下

2004/07/26 15:37

週刊BCN 2004年07月26日vol.1049掲載

 かつては、プリンタと並ぶパソコンの代表的な周辺機器であったにも関わらず、現在ではパソコンショップにおける不人気商品の代表格となっているのは、家庭用のスキャナだという。これはデジタルカメラの急速な普及による影響だ。デジタルカメラが広く一般に普及した現在では、誰もがそれを利用し、またその画像品質は、カメラの高性能化及び低価格化により、ますます向上しつつある。一方ネット上には、著作権フリーの写真やイラストが無数にあり、特に個人ユーザーは自分が撮った写真などをスキャンする必要性がますます減ってきている。

 また第三者への配布もインターネットインフラの普及した現在では、デジタルデータのままやりとりされることが一般的だ。プリントアウトなどの機会が減り、スキャナの出番はますます少なくなってきている。加えて使い勝手の問題もある。パソコンとスキャナとの接続方法は、かつてはSCSI、現在ではUSBが主流だ。しかしSCSIではあらかじめスキャナをパソコンと同時に起動しておかねばならず、USB主流の現在でも写真を取り込む過程には、スキャニング用のソフトウェアの起動が必要だ。そしてスキャンそのものにも、いささかの時間がかかることもマイナス要因となっている。

 一方デジタルカメラであれば、ワンクリックで全てのデータを直接パソコンに保存することが可能だし、最近ではプリントアウトまでスイッチ1つで行えるように、専用の接続機器を用意しているメーカーも多い。さらには机の上の場所を広く取りがちだし、パソコン本体のように見えないところに隠しておくと使い勝手が悪くなってしまう。かように不利な状況を打開するためには、売り手側はなにか意外性のある、楽しい使い方を提案して行かねばならないだろう。及び腰な各メーカーに対し、ユーザー側からは面白い動きも見られる。機会を見つけて紹介していきたい。(ニューヨーク発)
  • 1