Letters from the World

現金よりクレジットカード

2004/07/12 15:37

週刊BCN 2004年07月12日vol.1047掲載

 「機密漏えい、個人情報が今狙われています」と日本で言われている。個人情報を保護するために企業は大きな費用を使っている。個人情報(プライバシー)は、先進国アメリカで昔から話題になっていること。だから、アメリカの方が情報保管に関するシステムが完成しているように見える。しかし、本当のところはどうなのだろうか。

 個人情報を盗まれて困るのは、金銭に関連した部分だ。電話番号やメールアドレスを盗まれても大きな被害にはならない。問題は銀行の口座番号やクレジットカード番号で、その情報を悪用されてお金が使われてしまった場合だ。お金を使われたら誰が支払うか。日本人の多くは自分に責任があると思っている。しかし、自分が使っていないお金の支払いに個人責任はない。

 例えばクレジットカードを悪用された場合、実際クレジットカードが使われたことに気がつくのは、請求が来た時だ。それに気がついたら最初にカード会社に電話をして、支払いをストップできる。相手側が確かに製品やサービスを提供したという証明をするまでは支払いをストップすることができる。そして相手が証明できなければ支払う義務はないのだ。

 だから現金で払うよりもクレジットカードを利用した方が安全なのだ。日本でもこの仕組みに変わりはない。

 個人情報漏えいの問題は、実際に自分が使ったお金を支払わなかった場合に起こる。米国では、クレジットヒストリーといって、個人の支払い履歴がデータベースで残っている。家やクルマを買う場合でも、このクレジットヒストリーが大切なのだ。良いクレジットヒストリーを持っていれば金利も安くなる。そういう意味で、米国では自分の悪い情報が外に出ることを恐れている場合が多いのだ。

 個人の電話番号がばれることと、個人情報の漏えいを勘違いすることがないようにしたい。電話帳を見れば電話番号は分かってしまうのだから。それよりも日本は現金と印鑑の社会だ。印鑑を盗まれるほうがよほど怖い。(米シアトル発:パシフィックソフトウェア パブリッシング 内倉憲一)
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