Letters from the World
電話が消える日
2004/06/28 15:37
週刊BCN 2004年06月28日vol.1045掲載
しかし、ボネージやエイト・バイ・エイトなどが切り開いたVoIP電話は、本当に電話を変える勢いを感じる。とはいえ、彼らベンチャーの役目は新時代の扉を開くだけだ。米国では来年からCATV事業者がIP電話で電話業界に本格的な戦いを挑むからだ。そんな矢先、英国のブリティッシュ・テレコム(BT)が、旧来の電話交換網を捨て、すべてIP電話に切り替えてゆくと発表した。BTといえば、英国におけるNTT的存在だ。その同社が、あえてIP電話に切り替える衝撃は、米国でも大きかった。「電話が消える日」を公然と議論する時代の幕開けだ。
こうして私が歩き回る電話業界は不透明感を増している。無料電話と称して「普及数」でリードする日本に対し、「機能や価格」で優位に立つ米国、そして自ら「制度を破壊」する英国と、IP電話の波紋は複雑極まりない。果たして日本の電話会社は生き残れるのか。消費者は、本当に得をするのか。2年先も読めない状況だ。グラハム・ベルの発明した電話は、100年の歳月を経て全世界に広まった。ボネージが生まれて約3年。やはり、電話消滅の議論は速すぎると思うのだが、時代は待ってくれそうにない。(米サンフランシスコ発:ITジャーナリスト 小池良次)
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