半導体需要が好調だ。日立製作所と三菱電機の合弁会社で昨年4月に事業開始したルネサステクノロジは、昨年度（2004年3月期）連結売上高9856億円、営業利益448億円の好決算。長澤紘一会長＆CEOは、「初年度としてはまあまあの出来」と自画自賛している。「昨年の夏以降から半導体需要が上向いた」というのが初年度「まあまあの出来」となった要因だ。自動車や携帯電話などにルネサスのデバイスが採用され、出資元の日立製作所、三菱電機としてもホッとしているところか。

　ルネサス設立から誰もが注目していたのが、日立製作所と三菱電機という文化の違う大手企業同士の合弁がうまく機能するか？。長澤会長は多くを語らないが、「今年4月からは課長級以上の処遇を一元化したほか、労使交渉も一元化した。社内の融合はできている」と、そこに行くまでには苦労があった様子。

　今年度（05年3月期）は、連結売上高1兆900億円、営業利益600億円を目標にしている。デジタル家電や携帯電話などの伸びを期待する。ライバル企業ではIPO（新規株式公開）により市場から資金を調達している半導体メーカーもある。しかし長澤会長は、「当面、IPOはしない」とキッパリ。ようやく“融合”を終え、これから“飛躍”を期す段階で市場に翻弄されたくないということか。