旅-経営者の目線-

<旅-経営者の目線->64.南紀巡りと高野山の旅-(2)大島・勝浦・熊野

2004/06/28 15:27

週刊BCN 2004年06月28日vol.1045掲載

 串本港と大島間の巡航船は、古くから串本節で歌われてきたが今は橋で結ばれている。その橋を通って大島に渡り、東端にある樫野崎灯台に着く。ここは西の潮崎灯台と同じく1870年(明治3年)に初点灯した日本最古の石造り灯台で、東西力を合わせて急流黒潮が洗う難所の航海を守り続けている。

 近くに1890年(明治23年)に大島沖で難破したトルコ軍艦の遭難碑と記念館がある。暴風雨の中で艦長以下581名の命が奪われ、遺品の収集に漁民が協力したという。景勝地、海金剛は断崖が切り立ち、尖った奇岩が海から突き出たように並んでおり、男性的で迫力がある。

 勝浦はマグロの水揚げ量で日本屈指の港であり、同時に白浜と並ぶ南紀を代表する大温泉郷でもある。送迎船で勝浦湾を渡る趣向や、ホテルの設備や眺望もよいが、豪華大ホテルというのは余りに広すぎて館内移動に時間がかかり、もうひとつ落ち着けない。やはり個人客には温もりのある中小型旅館がよいと、つい商売気がでてしまう。

 那智の滝は幅13メートル高さ133メートルという見事なもので、昔から修験者の滝籠するところとして知られている。西国一番札所の青岸渡寺からの眺めが最高。

 原生林の那智大社、新宮の速玉大社、そして十津川近くの本宮大社と熊野三山に参詣する。昔、天皇や貴族、庶民に至るまで蟻のように行列を作って参詣した信仰の聖地である。京大阪からの熊野詣は高低差激しい山中の難路で、途中行倒れする者もいたという。現存する熊野古道を暫く歩いてみたが、息切れして長くは続かなかった。
  • 1