IT業界ここがポイント

<IT業界ここがポイント>12(最終回).e-Japan戦略

2004/06/28 15:27

週刊BCN 2004年06月28日vol.1045掲載

動き始めた「電子行政サービス」、関連機器で店頭にも大きな需要(BCN2004年2月9日号)

 2001年1月、日本を“2005年までに世界最先端のIT国家にする”ために「e-Japan戦略」が策定され、まず光ファイバーネットワークなどITインフラ整備に重点がおかれた。これは伝送速度30-100Mbpsの高速・超高速アクセスが可能なインターネット網の整備である。誰でもが無線アクセスも含めて安価に常時接続でき、アドレスに不自由がないIPv6などユビキタス環境をめざしたものだ。

 その後ITインフラの基礎的な部分は進んだとし、03年7月に「e-Japan戦略II」が策定された。これは医療や食、生活、中小企業金融、知、就労・労働、行政サービスなど7分野でITの利活用を先導的に推進させるものである。これでe-Japanを、生活の身近な部分にまで行き届かせる姿勢がより明確にされた。

 上記BCNの記事は、電子行政サービス普及のためには、本人認証情報入りのICカードを読み取るリーダなど関連機器の普及が不可欠であり、ビックカメラがそれらの販売や展示体験コーナをいち早く開設したという内容だ。徐々に周辺で浸透しつつあるが、一方でe-Japan戦略の目玉ともいえる電子政府の進展度は、ワールドワイドでみてもまだ中位程度との調査結果もある。

 確かにパソコンベースという立場からすればそうかもしれないが、PDA(携帯情報端末)などモバイル環境という観点では、日本と韓国が圧倒的なペースで先行、3位以下の中国やシンガポール、米国やヨーロッパ勢などを大きく引き離しているといわれる。

 e-Japanがめざす“社会全体が元気で安心して生活でき、新たな感動を享受できるこれまで以上に便利な社会”の実現は、これからが正念場だ。
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