旅-経営者の目線-

<旅-経営者の目線->62.台湾の旅-(4)先人の遺業に学ぶ

2004/06/14 15:27

週刊BCN 2004年06月14日vol.1043掲載

 台湾の面積は九州より小さく、オランダに近い。人口は2250万人でオランダの1.5倍、イラクとほぼ同数である。その台湾に日本統治時代の鉄道や道路、上下水道その他、総督府や珊瑚潭などの建造物が今も数多く残っている。

 そうした中でも台北や高雄を始めとして、本格的な都市計画に基づいた市街地とその幹線道路の広い幅員に驚くと共に、先人達の卓見に感動した。後藤新平が造った4大道路の中で片側4車線の仁愛路と信義路の両側に並木が続き、中央分離帯は緑地になっていて、大阪の御堂筋に優るとも劣らない。

 この道路は現在それぞれ一方通行になっていて相対している。その上近年高架式モノレールと地下鉄の開発が進んでいる。また市内の高架高速道路は無料で、市街地に電柱がないなど感心させられることが多い。

 ここはバイク利用者が非常に多く、広い道路の一部にはバイク専用のレーンがある。郊外の主要高速道路は片側5車線から6車線あるのにも驚いた。また50キロ毎に料金所があって、ドライバーはそこで料金を払わずに回数券を手渡すだけで通過できる。料金所の渋滞を避ける安価で効果的なシステムである。改めて東京の道路整備の遅れを痛感した。

 高雄は札幌に似ていると言われ、碁盤の目のような市街地と、南国の街路樹が並ぶ広い道路が美しい。戦時中私がシンガポールに向かう途中輸送船有馬山丸が立ち寄った高雄港はすっかり変わっていて全くその面影がなかった。今では横浜や神戸を凌ぐ世界的な大港湾になっている。

 1969年(昭和44年)8月に台湾を初めて訪れてから何度も訪問しており、特に我が社が台湾に進出してからは毎年のように訪ねている。そのたびに日本人に対する台湾人の好意を強く感じて心温まる想いをしてきた。それもこれも、先人達の台湾を愛する真情と、使命感に燃えた偉大なる足跡があったればこそと感謝し尊敬の念を深くしている。
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