IT業界ここがポイント

<IT業界ここがポイント>9.ストックオプション

2004/06/07 15:27

週刊BCN 2004年06月07日vol.1042掲載

米ヤフー、従業員のストックオプションを縮小(WebBCN2003年2月24日掲載)

 IT業界の発展にインパクトを与えた主役「ストックオプション」は、自社株優先購入権と呼ばれる。これは主として、従業員の“やる気”を起こさせることを主目的としている。その仕組みを大まかにいうと次のようになる。

 入社時、従業員は給料やボーナスなどの収入以外に、会社の新株または自己株式を取得可能な権利を得る(ボーナスをストックオプションでという企業もある)。その後の株価上昇時、従業員が権利を行使すると、会社がこれに対して新株あるいは自己株式を交付、従業員はそれらを時価で売却して、譲渡金を得るのである。従業員は会社の株価が上昇すれば、当然自らの利益にもなるので、会社の業績向上のためにおのずからやる気もわいてくる、というわけである。

 かつて、あるIT企業では社員平均で数千万円、やり手の場合、入社後3-4年目で億に近い利益を得たケースもあったそうだ。逆に、行使せず持ち続けた後に株価がダウンして利益を得ることができなかったという話もある。また、最近ではストックオプションで得た利益に対する課税方法の論議がある。つまり、給与所得か一時所得かの扱いである。これによる訴訟も結構な数に及ぶという。

 ヤフーでは、株価が最盛期から90%以上下落していたといわれており、従業員のストックオプション比率を2003年には2%未満(01年5月時は5.6%)にまで縮小したい、というものであった。ストックオプションは従業員1人あたりの利益が大きくないと効果はみられない。

 現在IT業界では“やる気”を起こさせるこの特効薬に代わるものを模索しているのが実状だ。
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