▼NTTドコモが6月30日で「クイックキャストサービス」の新規申込受付を終了すると発表した。クイックキャストと言われてもピンと来ない人も多いだろうが、「ポケットベル」と言えば瞭然。かつては多くの人がお世話になったに違いない。だが、携帯電話の普及により利用者は激減し、2001年に名称が変更されていたことすらあまり知られてないのではないだろうか。

▼ポケベル全盛の頃は、「ポケットベル」の呼称はNTTドコモの商品名であるため、新聞記事を書くにあたっては「無線呼び出しサービス」に書き換えろ、とよくデスクに怒鳴られたものだ。メッセージ表示機能が登場した頃は女子高生を中心に大ブームとなり、社会問題にもなった。それも今は昔。新聞でポケベルの文字を見かけることもほとんどなくなったし、ピーク時の1996年には1000万人を超えていた利用者も、今年3月末では80万人まで減っている（電気通信事業者協会調べ）。

▼一方、携帯電話と言えば4月末の契約数が8200万件。わずか8年の間に、主役がこれほど見事に入れ替わったサービスも珍しいが、こうした交代劇はIT産業の常だろう。だが、お隣の中国では、新旧の交替劇を経ずに一気に最新式の携帯電話が普及したり、アナログ式のヘッドホンステレオを使ったことのない人が、いきなりMP3プレーヤーを楽しむという状況も出現しているようだ。古い資産にひきずられないで済む分、普及が始まれば早い。周回遅れと気を許せる時代は過ぎている。