IT業界ここがポイント

<IT業界ここがポイント>6.無線LAN

2004/05/17 15:27

週刊BCN 2004年05月17日vol.1039掲載

岐阜県岩村町が2003年10月から町全域を無線LANでカバー、住民向けの公衆接続サービスを開始した。(BCN2003年12月1日号)

 無線LANは、有線LANのような配線の煩雑さという問題や公道をケーブルが跨ぐ際の問題などを解消するため、比較的早くから利用されていた。最初は管理も楽ではなかったようで、赤外線によるシステムを導入していたある金融系ユーザーは、室内に照射される夕日で誤動作した、また高周波電波によるシステムで離れたキャンパス間を接続していたユーザーは、地震で対向アンテナ同士がずれて通信不能になったなどとぼやいていたのを思い出す。

 しかし、その後本格的な普及が進んでいく。そのきっかけはIEEEによる標準化だ。無線LANの基本構成は、アクセスポイントとパソコンに搭載するアダプタカード。現在、IEEE 802.11a/b/g規格の製品が普及している。これらは、11aが周波数5.2 GHz/伝送速度54Mbps、11bが2.4 GHz/同11Mbps、11gが11bと同じ2.4 GHzながら同54Mbpsである。現在ではa、b、gともに混在するネットワーク環境に合わせ、3つのうち2規格、あるいは3規格サポートする複数バンド型が人気を集めている。

 一方、傍受や不正アクセスなどのセキュリティ対策にはユーザー、ベンダーともきわめて慎重にならざるをえない。このためアクセス制限をかけるMACアドレスフィルタリングやアクセスポイントとパソコン間で暗号化を行うWEP、ポートごとにアクセス制御を行うIEEE802.1xなどの手段でガードを固めている。

 また、最近のIEEE802.16規格も気になるところだ。これは、半径10km以上の広域で、伝送速度20Mbps以上、直接視野がない環境で稼働可能というソリューションである。正式に標準化はされてはいないが、デジタルテレビに関連したアプリケーションもあり、放送局など新たなニーズも考えられる。
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