▼「良いものは人気殺到でさっさと売れるが、PR不足による売れ残りも多数」、「高値で落札したものの、入手後に当てが外れることもある」のだとか。名付けて「ネットオークション型」。社会経済生産性本部が発表した今年の新入社員の特徴を表すキーワードである。

▼かつて就職活動といえば、ハガキで資料請求するか、先輩などのつてを頼りに情報を集めるぐらいしか方法はなかった。今はそれも様変わり。まずはネットにアクセス。すべてはそこから始まるそうだ。会社は人物の情報を吟味し、気に入ったらエンターキーを叩くだけ…。オークションというよりも〝ネットショッピング〟といったら言い過ぎか。

▼厚生労働省が発表した今年の就職内定率（大学、短期大学及び高等専門学校卒業予定者）は80・9％。昨年度比1・4ポイント減だ。景気に多少は明るさが見え、各企業とも新規採用を増やしているとはいえ、まだまだ雇用に春の兆しは訪れていないようだ。そんな厳しい就職戦線を勝ち抜いて入った新人君に「おめでとう」と言いたいところだが、会社とは、実はとても厳しい所だ。企業の再建に辣腕を振るった故土光敏夫曰く、「会社で働くなら知恵を出せ。知恵のない者は汗を出せ。汗も出ない者は静かに去って行け」。

▼もっとも、厳しいばかりでは身がもたない。明るく希望を持って仕事をしたい。中国の諺でここは締めよう。「一年の希望は春が決める、人生の希望は勤勉が決める」。