Letters from the World
iPodがPDA市場を変えた
2004/04/05 15:37
週刊BCN 2004年04月05日vol.1034掲載
PDAは廃れていくものと予想されていた。今後は多くの機能を携帯電話が受け持ち、最終的にPDAは高機能携帯電話として形を変えていくだろうというのが、多くのメーカーの考えだった。しかし、電話機能もデジタルカメラも搭載しないiPodは、決して安いとはいえない価格でも人気を集め、他の携帯端末はあっという間に傍流に押しやられてしまった。
iPodに数百ドルを支払い、さらに楽曲を「購入」する購買層がこれほど多かったことをPDA各社のマーケッター達は信じられなかったに違いない。彼らは自社製品が売れなくなると、その理由を携帯電話の高機能化によるものだと考え、日本での携帯電話の成功事例を米国でも実現すべく、ひたすら同じ道を辿ろうとした。しかしiPodはその流れを見事に断ち切り、市場を一気にひっくり返してしまったのだ。
PalmOne(パームワン)は携帯電話機能を併せ持つTreo(トレオ)が好調だという。しかしその売上額は同社の赤字を埋めるという程度。一方のアップルは、iTunes(アイチューンズ)での楽曲売り上げだけで1億ドルに達しようかという勢いだ。 さらにはニュートン以来のアップル製PDAである次世代iPodの噂も聞こえてくる。そうなるとブランド力まで含め、この市場はアップル一色になるのではないかと、対抗各社は戦戦恐恐だろう。iPodが切り開いた携帯端末の新しい市場で、新世代PDAの先駆者となるのはどこだろうか。(ニューヨーク発:ジャーナリスト 田中 秀憲)
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