北斗七星

北斗七星 2004年3月29日付 Vol.1033

2004/03/29 15:38

週刊BCN 2004年03月29日vol.1033掲載

▼大手機械メーカーのトップと話す機会があった。食品の安全性を損なうような事件が立て続けに起きたかと思えば、犠牲者まで出してしまった三菱ふそうトラック・バスのリコール対応の遅れのように、世の中で〝モノ作り〟と叫ぶ割には、逆にモノ作りに対する信頼が損なわれているのではないか、とぶつけてみた。

▼一連の製造業の問題を、90年代のリストラや合理化の歪(ひずみ)と言ってしまうのは短絡的過ぎる、もしリストラや業務の効率化を図らなければ、今、大手企業の何社が生き残れていただろうか、というのがその経営トップの主張である。もちろんコーポレートガバナンスを強化することで、そうした事件とは無縁の、体制に緩みのない企業も多いのも事実。そして、それを実現するうえで重要なのは、組織だけでなく人の問題であるという。

▼大手企業の経営改革が一巡し、中堅・中小企業の業務革新が求められている。特にITを使った経営改革を、ITベンダーが揃って重要な戦略に据え、経済産業省も後押しをしている。経営に情報システムを取り入れることで、それがオールマイティのカードであるかのように喧伝されている、とは言い過ぎか。

▼情報システムを提供する側も、それを使う側も業態に合ったノウハウが必要になる。需要が一巡した市場に見切りをつけ、処女地の開拓、というだけならば道のりは遠い。それを使いこなすかどうかも、結局は〝人〟の問題になってくる。
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