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電子タグ、使えるの?

2004/03/22 15:27

週刊BCN 2004年03月22日vol.1032掲載

 ようやく周波数割り当てが緩和された──。経済産業省の委託事業である電子タグ(RFID)の実証実験で、同事業に携わる研究者の1人である荒木勉・上智大学教授は、喜びを隠し切れなかった。

 田園地帯が広がる埼玉県白岡町にある食品卸、菱食の物流センター。ここで3月9日、国際標準として検討が進むUHF帯(950メガヘルツ帯)電子タグの実用化に向けた検証場面がメディアに公開された。

 高さ3メートルのゲート型読み取り装置を、電子タグ付きの箱を載せたフォークリフトが歩行速度で通過。“ピンポーン”と音が鳴り、積荷の内容がパソコンに表示される。「大丈夫だ」と荒木教授は安堵の表情を見せた。

 従来の電子タグは、周波数帯が13.56メガヘルツ帯。この方式は通信距離が最大70センチと短い。これに比べ、昨年末の通信法改正で流通網にも使えるようになった950メガヘルツ帯は、最大7メートルと帯域が広い。

 もっとも、UHF帯方式でも、倉庫にある障害物によっては電波障害を起こす可能性は否定できず、「読み取りミス」で出庫データ管理を混乱させる可能性もあり得る。その障害物をどうクリアするかが、今後の実用化に向けた唯一大きな“壁”として立ちはだかっている。
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