北斗七星

北斗七星 2004年2月16日付 Vol.1027

2004/02/16 15:38

週刊BCN 2004年02月16日vol.1027掲載

▼吉野家の米国産牛肉が底をつき、〝老舗牛丼〟が姿を消した。同社は、豪州産の代用を模索し続けたが、量や質の違いで断念。販売休止を前に店舗前には長蛇の列ができ、その人気を垣間見た。以前、同業者の「松屋」の社長が、吉野家に敬意を表しこう語っていたのを記憶する。「何年研究しても、吉野家の味は絶対マネできない」。競合社が完全に白旗を揚げていたのだ。

▼吉野家は1980年、会社更生法の適用を受け、1度は倒産した。しかし、〝老舗牛丼〟の消滅を惜しむファンの後押しもあり、わずか10年で復活を果たす。最近、産業界では「業界のオンリーワンになる」が合言葉のように交わされる。吉野家の牛丼はまさに、「オンリーワン」を結実した貴重な例だろう。

▼ある経済学者が「経営の成功度合」を〝公式〟で表している。「頑張りと固有条件×(オンリーワン度合)2乗+運」。オンリーワン度合が経営を成功に導くことが如実に示されている。「…だけ」という商品やサービスの有無が、業界で雌雄を決するのだ。

▼IT業界は昨年、「新3種の神器」を中心にデジタル家電が活況を呈した。一方、システム構築は、「大型案件の減少」、「小口案件増で収益率低下」を理由に、多くが低迷。だが、あるシステムインテグレータ社長は「今は、小口案件の積み重ねで、地道にノウハウを蓄える時期」と、前向きに話す。いつ回復するか不透明な企業のIT投資だが、ここはじっくり好機を待ち、今からコツコツと「オンリーワン技術」を蓄える気構えが欲しい。
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