旅の蜃気楼

老舗雑誌

2004/02/09 15:38

週刊BCN 2004年02月09日vol.1026掲載

▼「これ、懐かしいな」。届けられた雑誌の書籍名を見て、思わず叫んだのがこの言葉だ。読者の皆さんはIDGジャパンが発行した創刊号「月刊COMPUTERWORLD」を見ましたか。この雑誌の名前は世界のコンピュータ雑誌の中の最老舗だ。IT系調査会社のIDCを創業したパット・マクガバンさんが創刊した業界誌で、コンピュータがアメリカの企業で使われ始めた50年代の話。その後、日本でも発刊して、8年ほど前に形を変えて見なくなった。当時その一方で、パソコン業界紙の「INFOWORLD」がアメリカで業界を牽引し、今はまた次の媒体が台頭している。書籍の変遷は歌謡曲と似て世の中の変化に応じている。

▼さっそく、その編集部に電話を入れた。雑誌の奥付を見ると、河原潤編集長、山部素子記者…。知らない人ばかり。ずっと下に目を移すと、編集顧問・西田昇平さん。知り合いだ。「にしやん、元気?久しぶり」。「ほんとだね」。「あまりの懐かしさに、電話したよ。復刊したの?」。「そういうわけでもないんだけど…さ」。西田さんは以前、「COMPUTERWORLD」の編集長。確か当時のIDGジャパンの社長は、BCN AWARD 2004の業務ソフト部門で受賞した弥生の社長・平松庚三さんだ。こちらの変化はOSのバージョンアップ並みだ。

▼さて編集方針は、「テクノロジー・リーダーのためのコンピューティング情報誌」だ。エンタープライズ向けの雑誌で、大規模システムを導入している企業のIT部門で、テクノロジーの情報を求める読者向けの雑誌だ。河原編集長の挨拶を編集後記の中で見つけた。「コンピュータワールドをめぐる旅の始まりです。最近、この世界はずいぶんややこしくなっているけど、大丈夫。本誌が何とかしましょう。Get Technology Right!」。第1特集は、64ビットCPUマシンの導入はすぐがいいのか、それとも時期尚早かがテーマだ。技術開発の背景と、技術革新の背景が一本の糸によじってある編集方針はさすがだ。購読料金は一冊1280円。単行本の値段だ。高いかどうかは中味次第。(本郷発・笠間 直)
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