Letters from the World

ラジオがない!

2004/02/02 15:37

週刊BCN 2004年02月02日vol.1025掲載

 先月、国際家電見本市(CES)に行ってきた。CESといえば、テレビからマッサージ機まで、実に多彩な商品が並ぶ。特に今年は、過去最大の2400社が出展し大賑わいだった。この展示会は毎年1月の初めに開催される。こんなに早く開催するのも実は理由がある。家電小売店が、毎年CESにやってきて、人気や相場を確かめてから、仕入れ・販売計画を立てるからだ。そういえば来場者は背広を着込んだディーラー風の人が多い。

 彼ら米国の小売店は、年間の販売計画を途中で変えない。一方、日本の家電小売店は、売れ筋と見るや、すぐに仕入れてしまう。おかげで、日本ではヒット商品がよく出るが、米国ではDVDプレーヤーやデジタルカメラなど人気商品が年間通じて売れるという。ところで、10万点は軽く越える展示を見ているうちに『ラジオがない!』ことに気がついた。もちろん、オーディオ部門に行けば、高級チューナーが並んでいる。しかし、ラジカセがない。ソニーなどの大手は、液晶テレビやホームシアターばかり。台湾メーカーのブースを回っても見当たらない。もやはラジオは展示する価値もないらしい。

 そういえば、最近は街でラジオを持つ若者にあったこともない。また、米レコード業界が出した報告書でも、「ラジオがヒット曲を生む時代は終わった」とあった。しかし、全米には数万のラジオ局がある。そこで衛星ラジオ放送の展示者にたずねたら、「聞くのは車に乗っている人だけ」とのこと。なるほど。

 もうひとつ、見当たらないものを見つけた。携帯電話のストラップだ。日本では街角にあふれているが、広い会場を探しても、1本も見つからなかった。そこで携帯用品のブースで訊いてみた。「携帯は重いからぶら下げられない」、「かっこ悪い」などなど。結局米国人のファッションセンスにストラップは合わないようだ。家電はお国柄を象徴している?のだろう。(米サンフランシスコ発:ITジャーナリスト 小池良次)
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