旅の蜃気楼

「Suica」

2004/01/26 15:38

週刊BCN 2004年01月26日vol.1024掲載

▼駅の改札をすいすい、通過できるカードはとても便利だ。JR東日本では「Suica(スイカ)」といい、昨年11月からサービスを開始したJR西日本では「ICOCA(イコカ)」という。両方の名称をつなぎ合わせると、「すいすい、いこか」と仲のいいことである。ところが、それぞれのエリアでしか使えないので、2枚をもつことになる。とても不便だ。大阪の駅員に、東京でも使えるのか、念を押したところ、申し訳なさそうに、使えるのはJR西日本の253駅だけと応えた。じつはあまり不満にも感じなかった。すでにVIEWカードで、エリア以外では使えない不便さにあきれ返っていたからだ。

▼「Suica」がJR東日本管轄の仙台エリアで昨年10月から使えるようになった。66駅だ。首都圏エリアは481駅だから、1141駅でスイスイ使える。現在、約690万人がSuicaを保有している。デビューしたのは2001年11月。当時は地下鉄に普及していた「薄いカードを改札の読み取り機械に滑り込ませ、その先でカードが顔を出し、それをピックアップして、終了というパスネットが主流だった。JRが採用した「ICカード方式は根づくかしら?」と、思いながらSuicaを買った。カードを使っているうちに、自分の年齢も増えてきて、癪なことが増えてきた。地下鉄のカードをつまんだつもりが、すっぽ抜け、カードは残り、本人だけが改札を通過する…。

▼Suicaは勢いづいている。JR東日本は、NTTドコモとの協力で「モバイルSuica」の利用実験を2月から始める。夏までの予定で、2年以内には実用化するという。携帯電話のなかにSuica機能が入って、インターネット経由でお金をチャージして、使うときはSuicaと同じようにケイタイを近づければ、反応してすいすいというわけだ。高速道路のETCカードもいずれ、ケイタイに内蔵されるのかしら。ひとつになると便利だ。しかし、高速道路公団の分割で、Viewカードのようにエリア使用の限定となると、最悪だ。(本郷発・笠間 直)
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