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古典的な経営者

2004/01/26 15:27

週刊BCN 2004年01月26日vol.1024掲載

 再生を図る富士通にとって、究極の競争力とはなにか――。富士通の黒川博昭社長は、「突き詰めれば、最先端の技術力を持ち続けること」だと言い切る。そのためには、工場などの生産・開発の現場を、今よりも活力あるものにする必要があるという。

 その一方で、販売部門に対しては、「これまで、富士通の営業は、収益が上がりやすいソフト・サービスを売ることに流れすぎた。だが、これからはもっと自分たちの工場でつくった製品を売ることに力を入れるべき。自社製品の販売量を増やせば、工場のコストダウンにもつながる」と檄を飛ばす。

 ユビキタス1つ取り上げても、小型省電力化が進み、誰でも使える新しい端末の開発が求められている。世界標準やオープン化など、外から安く調達した商品だけ売っていては差別化できない。

 「営業が自社製品を積極的に売り、工場の生産力と技術力を高める。これが最終的に富士通の競争力を高めることにつながり、雇用を守ることにもなる。工場や営業の努力だけでなく、われわれ経営者の責任でもある」

 近年のIT業界は、国内工場のスリム化や、ソフト・サービスへの移行がトレンドだった。その流れに逆行する施策に、黒川社長は「古典的な経営者かもしれない」と苦笑する。
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