北斗七星

北斗七星 2003年12月15日付 Vol.1019

2003/12/15 15:38

週刊BCN 2003年12月15日vol.1019掲載

▼持っていくもの。機関銃、個人携帯対戦車弾、無反動砲…。イラク復興支援特別措置法に基づく自衛隊派遣の基本計画が閣議決定された。「武力行使はしない」。小泉首相はこう明言した。しかし、基本計画の中でふれられている「携行する装備」を見ると、小泉首相の言葉が空疎に聞こえる。

▼今回のイラク派遣の主目的は人道支援だという。たしかにそれは大切だ。戦争で荒廃したイラクの人たちを助けることに、だれもノーとは言わないだろう。陸上自衛隊が担う任務は、医療、給水、公共施設の整備・復旧など。これらの活動で自衛隊は大きな力を発揮するだろう。2002年、政府は国連の平和維持活動(PKO)として自衛隊を東チモールに派遣した。このときは、道路や橋の修復などに貢献し、地元の人から大いに感謝され、国際的にも高い評価を得た。しかし、今回は事情が異なる。反米感情が渦巻くイラクで、米国の蕫友人﨟と見られている日本から来た部隊が、はたして人道支援活動を十分に行なうことができるのか。

▼イラク派遣の理由の1つに、小泉首相は国際協調を挙げる。もっとも、主要国のうち、フランス、ドイツ、ロシアは軍隊を派遣していない。地政学的に日本よりはるかに利害関係が高いロシアやドイツが、人道・復興支援という名目ですら部隊を派遣していない。この点に注目する必要がある。国連や赤十字でさえ引き上げ・縮小をするような地域への派遣。その大義は小泉首相の口からは出ていない。
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