北斗七星

北斗七星 2003年11月17日付 Vol.1015

2003/11/17 15:38

週刊BCN 2003年11月17日vol.1015掲載

▼海老名市(神奈川県)は、11月9日の総選挙に合わせて実施した市長選、市議選で電子投票を導入した。結果はトラブル続きで、投票開始時間が約10分遅れ、開票結果の公表も2時間以上遅れたという。昨年夏に全国で初めて電子投票を導入した新見市(岡山県)に続き、いくつかの自治体で電子投票の試みがなされてきたが、まだ大きな流れとなるには至っておらず、試行錯誤の域から出ていない。

▼現在試みられている電子投票は、従来のように候補者の氏名を用紙に書き込む必要はないものの、投票所に足を運ばなければならない点は、紙による投票と同じだ。インターネットで自宅に居ながらにして投票を済ませられるほどの利便性はない。「インターネットでの投票は安全性に問題がある」、「管理人の目が届かない所での投票は、横に第3者がいて選択の強要を迫られる恐れがある」。そういった課題は確かにあり、よって投票所に出向く有権者の労力は依然残り、費やされる選挙管理コストも大幅に減ることはない。

▼だが、できない理由をあげつらうことで、将来的なインターネット投票の蕫芽﨟を摘んでしまっていては、いつまで経ってもIT化社会はやって来ない。セキュリティや選択の強要といった懸念はあるにせよ、これらは技術や法整備による対応で解決することは不可能ではないだろう。まずはやってみること。その上で各種課題をクリアする。59・86%という低い投票率を嘆く前に、どうすればITを有効活用できるかを考えるべきだろう。
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