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最後は長年の経験

2003/10/20 15:27

週刊BCN 2003年10月20日vol.1011掲載

 海洋科学技術センター、日本原子力研究所、旧宇宙開発事業団(現・宇宙航空研究開発機構)の共同チームが開発した超高速ベクトル並列コンピュータ「地球シミュレータ」を使って、気象研究所気候研究部の地球温暖化による気候変動シミュレーションがスタートしようとしている。

 気象研究所の担当者によれば、「これまで全地球を数百キロ単位のメッシュでしか区切れなかったが、地球シミュレータによって20キロメッシュ、条件によってはそれ以下のメッシュで気象の変動もシミュレーションできるようになる」と期待を寄せている。

 地球シミュレータは、NECが開発参加した合計5120CPUの超並列ベクトル型コンピュータシステム。最大40テラFLOPS(毎秒40億回の浮動小数点演算速度)の最高性能を誇る。

 「長期にわたる気候変動のシミュレーションも、細かく言えば短期の気象予報と密接な関係があり、気象庁と共同で研究も進めている」とか。スーパーコンピュータの超高性能が、天気予報と関係があると聞くと身近にも思えてくる。今年のような冷夏も予測がつきますね? という問いには、「うーん」と腕組みしながら、「データを見て人間が判断するというのは、結構難しいものでね」と、長年の経験に頼る部分はまだ多そうだ。
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