Letters from the World

携帯電話人口の実態

2003/09/29 15:37

週刊BCN 2003年09月29日vol.1008掲載

 中国の携帯電話人口が2億人を超えて世界一となったという。これは本当にそうかというと、実際はかなり誇張された数字になっていると思われる。詳しいデータは手元にないが、中国の携帯電話ユーザーの多くがプリペイド方式を使っている。これは、街角で手軽に購入できるし、携帯電話通信業者にとって、利用料金の取りはぐれがないので重宝する。固定収入のない学生さんでもとりあえず携帯電話ユーザーになれるわけだ。

 GSM方式が普及した中国では、ハンドセットの互換性と市場流動性が高いため、日本のように価格の暴落はない。そのため、通信料金は比較的安く抑えられている。日本の場合は通信料金で本体価格のロスをカバーするというゆがんだビジネスモデルになっているのと対照的である。GSM方式で使われるSIMカードのみの販売が、契約者数を乱造する主な原因となっている。1人で何回も番号を取り替える人も多い。ある一定期間を過ぎて、料金の補充がないとその番号は無効になり、契約が自動終了してしまうのだ。

 そういう場合は、新たにSIMカードを購入して、新規の番号を取得する。4000円以下でカードと通話料金がセットとして契約できるため、我々外国人でも簡単に購入できる。また、国土の広い中国は、地方ごとに通信会社が分割されており、契約地域を外れるとローミングのコストが発生する。各地を移動するビジネスマンなどは、この費用増を避けるために、1人で複数のSIMカードを利用する。

 台湾や香港からの出張者も高価なローミングを避けるため、現地入りすると中国の電話番号に変更する。私もその1人だ。これらの事実を考慮すると、2億という数字はかなり眉唾ものであり、実際に稼働している契約数はその半分程度であろう。いろいろな意味で世界一を目指す中国にとって、このプリペイド方式の携帯は、都合のいい数字のトリックなのだ。(台北発:アコードインターナショナル 原 真)
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