戸板祥子の筝曲の時間

<戸板祥子の筝曲の時間>8.出会い

2003/09/01 15:27

週刊BCN 2003年09月01日vol.1004掲載

 東京大学では1998年に新領域創成科学研究科が設置され、学部の枠を超えた研究に取り組めるようになった。同時に東大初のNPO(民間非営利団体)法人「WIN」の会は、大学の独立法人への移行の先駆けとして注目されて3年目を迎える。

 先日開かれた懇親会では、東大生や東工大生を含め若手の様々なジャンルの方が集まった。私は後輩とともに、おそるおそる参加したのだが、予想以上に?楽しいひとときを過ごした。

 東大教授でWINの理事長でもある板生清先生から熱心かつ理論的なご説明いただき感激した。また多くの出会いがあった。

 その中の1人の、目の大きな愛くるしい有光知理さんは東大大学院生。車の中に映像モニタを取りつけ、運転手の疲労度や眠気の度合いを察知し、基準を超えれば、自動で風が吹いたり音楽が鳴ったりして運転手に注意を促す装置の開発を目指している。そのために人体の構造の研究に日夜励んでいるそうだ。

 そしてもう1人、博士課程の蜂須賀啓介さんは、人間の内面を感知する小型通信機器で情報を得る研究をしている。彼はすでに研究室で音源から30人程の人体を通じて音を伝達する実験を成功させている。いつの日か握手をするだけで相手とコミュニケーションが取れるという、ETの世界の実現を夢見ている。

 最近の異業種交流会では、あたりさわりのない会話が多く、仕事の詳しい話や夢なんて語る場面は皆無に近かったのでこの出会いは新鮮だった。

 その日、夢を語れなかった私は、夜ベッドの中で今度あの人達に会えたら何て言おうかと考えつつ眠りについた。

 <お詫び>演奏会の申し込みはメールでと記載したのだが、なんとウイルスの感染でただ今パソコンは電気店に入院中である。予約の連絡を頂いた方々には大変申し訳なく思っている。2週間後には復帰するのでどうか待っていて欲しい。初の感染で今後セキュリティをしっかりしなければと改めて思った。

 お盆中の先祖を祀るコンサート、「天上界の響き」を笙や笛、箏、太鼓で気持ちよく演奏して帰ってきたら、ウイルス感染していた。英語恐怖症の私は何が何だかわからずため息をつくばかりである。
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