北斗七星

北斗七星 2003年8月4日付 Vol.1001

2003/08/04 15:38

週刊BCN 2003年08月04日vol.1001掲載

▼18年ぶりの優勝に向け、ばく進を続ける阪神タイガースに水を差す形となった「阪神優勝」の登録商標問題が、とりあえず収拾に向かうことになった。「阪神優勝」の四文字をロゴとして商標登録していた千葉県の男性と阪神球団の間で、商標を男性が球団に譲渡することで大筋合意したという。思わぬスキをつかれた球団側だが、こうした話は今の時代、どんな会社でも起こり得ることだろう。今回の合意も金銭の授受が伴うようで、決して対岸の火事ではない。

▼弊紙BCNは今、創刊1000号を記念して3週にわたる特別企画(本号16―21面)をお届けしているが、そのタイトル「BCN1000号」がすでに商標登録されていて勝手に使用できないとなると、これほど辛いことはない。BCNにとっては創刊から約22年。待ちに待った瞬間である。当事者には大きな思い入れがある。そんなことを「阪神優勝」問題の成り行きを見ながら考えてしまった。

▼もちろん商標権などの蕫権利ビジネス﨟を否定する気はない。むしろ、著作権侵害などはIT業界も直面する喫緊の課題であり、権利保護にはもっと対策が打たれてしかるべきだ。とはいえ、利益だけを追い求め当事者や当該企業の思いを踏みにじるようなことは、道義上すべきではないだろう。目先の収入にはつながっても、長い目で見れば失なうものは大きい。くだんの男性も、18年ぶりの優勝を確信し盛り上がる熱狂的な虎ファン全員を敵に回すことの恐ろしさに気がついたと思いたい。
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