戸板祥子の筝曲の時間

<戸板祥子の筝曲の時間>2.芸術のリゾート地へ

2003/07/14 15:27

週刊BCN 2003年07月14日vol.998掲載

 静岡県三島市のJR三島駅から車で15分程走ると、富士山や伊豆半島の山並みを一望できる景勝の地に、ヴァンジ彫刻庭園美術館、木村圭吾さくら美術館、ビュフェ美術館、井上靖文学館などが点在するクレマチスの丘があります。そこは濃い緑に囲まれ、髪をなびかせる風も、見あげた空もどこか異国を思わせます。

 イタリア出身の彫刻家ジュリアーノ・ヴァンジ氏の作品が展示されているヴァンジ彫刻庭園美術館は去年オープンしたばかり。彼は昨年、第14回高松宮殿下記念世界文化賞を受賞しその式典に参加するため家族と来日しました。

 私はパーティーで尺八・チェンバロとのトリオで演奏した後、少しお話をしたのですが、大変気さくで素敵な方でした。

 さて、そこにはグルメ通ならご存知の日高良実シェフプロデュース、イタリアンレストラン「マンジャ ペッシェ」があります。私は毎月1度は訪れるのですが、洗練されたその雰囲気は、まさしく食・文化のリゾート地。

 長野の「リゾナーレ小淵沢」でエステや乗馬、夜に眺めた降るような星空も、沖縄の「ブセナテラスホテル」のプールサイドで、火照った体を休めながらサックスの演奏を聞いて水平線を眺めるのも、果てはメキシコのリゾート地カンクーンで、テキーラを飲んで、海辺で一瞬にして日焼けするのも素敵です。

 しかし、ヴァンジの彫刻が点在する庭園で、クレマチスの花に見守られ、眼前の風景を見渡していると、自分の中にある芸術への情熱が清められるのを感じます。

 以前ホワイトガーデンの野外でフルートの演奏も行われていました。野外でドビュッシーの「牧神の午後への前奏曲」を聞きながら、ボーっとお茶するなんて、贅沢で素敵なひとときでしょう!ただ難点は「マンジャ ペッシェ」の予約がなかなか取れないことです。興味のある方はオフィシャルサイト(http://www.clematis-no-oka.co.jp/)をどうぞ。入館料10%オフできますよ。
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