Letters from the World

ウェブサービスのゆくへ

2003/06/30 15:37

週刊BCN 2003年06月30日vol.996掲載

 多彩なITソリューションを提案するための技術基盤としてその導入が進んでいるウェブサービスだが、多くのITインテグレータがこれまで重要な収入源としてきたソリューション業務の基本構造の急速な変革を促しつつある。調査会社ザップシンクの報告によると、SOA(サービス・オリエンテッド・アーキテクチャ)と呼ばれる方式による業務の効率化、統合化、高可用化などに対するユーザーからの要望が高まっており、これまでのソリューション技術はもはや役に立たないと断じている。

 ウェブサービスがもつ自律的な対統合化性が、いままでソリューション企業が収入源の拠り所としてきたインテグレーション作業の大部分を自動的に代行してしまうため、ソリューション企業は新たな付加価値をユーザーに提供できない限り、これまでのようなシステム受注はおぼつかなくなるだろうとする視点は興味深い。2010年にはこれまでの形態によるITソリューション業務の売り上げは現在の3割にまで収斂するだろうとの予測もある。IT業界では昔からソフトウェアの部品化というテーマが綿々と議論され続けてきた。ソフトウェアのソースコードの共有から始まったその経緯は、現在に至るまでさまざまな変遷を遂げている。

 コードの共有化を実現するライブラリ、部品間のインターフェイスを共通化するAPI、アプリケーション間連携を実現するOLEからアクティブXへの動き、Javaの登場など、その実例には枚挙に暇がない。しかし異機種異言語異業種間を透過的かつ現実的に統合化し得る本質を設計仕様の段階でもっているアーキテクチャは、ウェブサービスが歴史上初めてといってよい。従って、その仕様自体が冗長性、非現実性など多くの問題をいまだ内包しているのも事実だ。ウェブサービスを市場として確立させてゆくためには、さまざまな分野の識者からのより多くの助言と支援がこれまで以上に求められている。(米サンノゼ発)
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