Letters from the World

SARS記事にアクセス制限

2003/06/23 15:37

週刊BCN 2003年06月23日vol.995掲載

 中国の華南地方を回ってきた。福建省は、筆者がベースにしている台湾と距離も文化も近い。とくに廈門はまるで台湾にいるかのような感じを受ける。廈門、福州といった福建の大都市も大きなホテルではブロードバンドインターネットが客室で利用できる。台湾との接続はすこぶる良好なスループットが得られる。それもそのはず、台湾海峡を経て直接海底ケーブルが接続されているのだ。ただ形式上はケーブル所有者の第三国経由である。

 ウェブ閲覧、VoIPなど、台北のサーバーにアクセスする限り、まるで台北にいるかのように速い。しかし、問題が1つあった。とくにニュース関係のウェブサイトが、部分的にフィルターされることだ。台湾でのSARSの状況が気になるので、ニュース記事にアクセスするのだが、ページが表示されないことがしばしばあることに気がついた。これは日本のサイトにある台湾のSARS記事でも同様だった。試しに台湾のオフィスにあるデスクトップPCにリモートソフトで入り込み、そこから同じウェブページにアクセスすると、ちゃんと表示される。

 表示されないページの内容は、中国がWHOに圧力をかけて、渡航延期勧告リストから台湾をはずさないようにしている、云々の記事だ。その他、田中宇の中国関連ページ、李登輝関係、法輪功関係など。それも全ページでなく、特定のページだけ、という場合もある。ここにきて、怖くなった。こうやって、要注意ページにアクセスしていることを、当局が逆に探知する可能性も十分あるわけである。ということで、この記事は、台湾に戻って、現在隔離中の自宅で書いている。台湾は言論の自由は保障されているが、中国から戻った場合、現在10日間の在宅隔離が強制される。もちろん、SARS対策の一時的措置だ。(台北発)
  • 1