Letters from the World

ICE

2003/06/16 15:37

週刊BCN 2003年06月16日vol.994掲載

 コンピュータ業界、ドットコム、IT業界などと言われてきた業界だが、基本的に最近は3つの分野に分かれている。この3つの業界とは、情報産業(Information)、通信産業(Communication)、娯楽産業(Entertainment)のことである。それぞれの頭文字を集めるとICE(アイス)になる。ICEには言うまでもなく別の意味がある。それは「氷」と言う言葉だ。氷のように冷え切った産業という皮肉もあるのだが、ICEと言う言葉は業界で定着しそうな様子だ。あまり聞こえが良くない言葉だが、覚えておいて損はない。

 最近こんなに冷たいアイスでもホットな業界がある。それは、コンサルタント業だ。IBMやEDSを中心にしたハードウェアメーカーが、金儲けはハードウェア販売ではないとやっと理解したのだ。儲けはハードウェアを選択する前の段階にある。そう、訳のわからない、困ったお客様に情報機器を使ったソリューションを設計する。ここに儲けがあるのだ。ドットコムが自社のデータセンターでASPとして提供しようとしてきたビジネスモデルを、もう一度高価でもお客様のサイトで実現することが新たなビジネスなのだ。ドットコムは安いソリューションをASPとしてお客様に提供するというビジネスモデルで動いてきた。

 確かに、中小や個人事業主、店舗などには最適なソリューションであったことは確かだが、大企業や政府などにはASPは向かない。あくまでも自社内で運営をしたい顧客なのだ。ドットコムやデータセンター会社が提供するASPは、システムとしては大企業が使うに十分であったが、ASPではと言う声を良く聞いた。そういう面で、IBMやEDSが開拓し始めたオンサイトのASP事業、これがICEの新しい形態だと私は思っている。ASPの完成度、そして使いやすさ、それとオンサイトでのサービス提供。これが21世紀の大企業向けサービスだと私は考えている。(米シアトル発)
  • 1